「カポエィラ・マンジンガ 遠征日記」黄帯 よしこ

東京・新宿区、渋谷区で教室活動するカポエイラ・テンポ(カポエラ)のみんなが書くブログ。 練習やイベント情報、ブラジル日記やメディア裏話も!
2011/06/11(土)
メストレ・パウロ=バトゥータ率いるカポエィラ・マンジンガ・サンディエゴは、アメリカのオークランドに本部があるカポエィラ・マンジンガのサンディエゴ支部。
マンジンガはそもそも、Cordao de Ouro(CDO)から派生したグループで、CDOはブラジルのサンパウロを本部に、世界各地に支部があるとても大きなグループです。
ちなみに、そのトップに立つのは音楽や歌でも有名なメストレ・スアスーナです。

_CDO_batizado (13)

今回は5月28日29日の週末にカポエィラ・マンジンガのバチザード&ワークショップが行われるというので、以前サンディエゴに留学していて今は東京のCDOで練習しているタカコVespinhaに連れられて参加してきました。
彼女からはかねてからこのイベントの楽しさと内容の濃さをきいていたので、数年来の念願がかなったというわけです。


バチザードの1週間ほど前にアメリカ入り。
その週の火曜からはじまる練習に参加しつつ、その週末のワークショップ&バチザードに突入します。
初日の練習で、まずはタカコVespinhaの紹介のもと、メストレ・パウロに挨拶。
にこやかなウェルカムを受けました。
ブラジル人は上の帯の人でもとてもフレンドリーですね。
パウロは数年前、上級者の生徒を連れて東京にワークショップをしにきたとき、全員でテンポの練習にも立ち寄ったこともあるそう。
カポエィラのグループにはそれぞれ特有の身体動きや音楽があるので、今回ワークショップに参加して新しい動きや考えかたに触れるのが楽しみです。


初日の練習はメストレ・パウロ、二日目はシカゴからやってきたインストラクトール・ウルソ・ポラール、三日目はコントラ・メストレ・パパレグアによるもの、そして金曜は各地からメストレ、コントラ・メストレが集まってのオープン・ホーダという流れです。
メストレ・パウロ、インストラクトール・ウルソ・ポラールはどれも蹴りからケーダに持っていって、それを避けるまでの一連の動き。
それを常に二人で組みながら、動きのコンビネーションで繰り返すというもの。
練習とはいえまるで二つの身体の凹凸の動きがうまく組み合わさって動いているようでなんとも美しい組み合わせです。
コンビネーションを発明するのはまさに上級の人々ならでは。
早くも、貴重なお土産をもってかえる気分でした。

インストラクトール・ウルソ・ポラールが言っていた印象的な言葉、
「カポエィラはスピードや技だけじゃない。蹴りが当たりそうなところ、すれすれで避けるスリル。予想していなかった蹴りや動きに突然遭遇することの面白さ。それが醍醐味だと僕は思う。」
私もそう思う!

コントラ・メストレ・パパレグアは、見るからに全身ムキムキのパワー系。
とんがった耳とギラギラと生徒を見つめるその眼差しがすでに闘志みなぎっていて、彼の練習はそら恐ろしい過酷なウォーミングアップから始まりました。
30分、1時間たってもアップが終わらず、足がつって倒れる人もちらほら。
私はのろのろとついていくことしかできず、部屋のなかを蜘蛛のように四足歩行で駆けずり回る上級者の横で、いつまでも終わらない腕立て前進をミミズのように続けている私でした。
コントラ・メストレ・パパレグアの練習はひたすらジンガと移動のバリエーション。
ああ、CDOにもこういうパワーみなぎる戦闘系の先生がいるのね・・・・、というCDOの多様性を見ることができて、なんだか安心しました。
どのグループでも、最終的に大切なのは自分のカポエィラを見つけること、その多様性を認めるグループの器の大きさを感じました。


金曜日のオープン・ホーダは総勢200人はいたのではないかというほどの大所帯イベント。
しかも、イベント前日ともなると全米各地やメキシコからメストレ、コントラ・メストレが集結し、様々な異なるグループの生徒たちもぞろぞろと集まっています。
数々いるメストレのなかでも大ベテランのメストレ・カンガルーをはじめ、先生級のカポエィリスタたちの華麗でスリル溢れるホーダのあと、会場にホーダを5つほど作って、いろんな場所を行き来しながらジョーゴを続けます。
なんて賢い方法!
これならば、1度しかジョーゴできなかった・・・なんてことはなく、終わってみると会場は汗をもとにした水蒸気に満たされ、誰もが熱いジョーゴに息せき切っているのです。

さて、週末はいよいよワークショップとバチザード。
土曜日はアフロ・ブラジリアンダンスのひとつ、ココのワークショップ、そしてアシェーダンスのワークショップのほか、カポエィラのワークショップがありました。
カポエィラのワークショップは初級、中級、上級に分かれ、それぞれレベルにあった動きをメストレが伝授するというもの。
私は中級のクラスで、ビンガチーバを取り巻く練習。
練習はビンガチーバの入り方だけにとどまらず、その前後の動きのフェイントやリズム感あふれる動きも含まれています。
一連の動きのなかにあってこそ、ケーダの美しさが映えるというものです。
はじめてビンガチーバのタイミングがピンときた!
そして、練習が終わりに近づくとおもむろにメストレは音楽に合わせながら群集を率いてホーダのカタチをつくり・・・、最後はまたまた複数のホーダを作ってのオープン・ホーダでした。
初級、中級、上級とどのレベルの生徒も満遍なくいるので、いくつもホーダをつくってもそれぞれに仕切り役の上帯の人々がいるので、ホーダが「成り立って」いる印象をうけました。
生徒の層の厚さはこういうところに現われるのでしょう。

_CDO_batizado (25)

いよいよ最終日の日曜日はサンバ・ワークショップから始まりました。
大人気のこのワークショップには女性もさることながら、大勢の男性カポエィリスタも参加。
サンバは男女で踊るもの。
男性もいかに機転を利かせて踊るかがポイントです。
言い忘れましたが、前日からのカポエィラ・ワークショップ中の音楽はもちろん、ダンスワークショップのバテリアはすべてメストレたちによるナマ音のバテリアによるもの。
ダンスにいたっては、動きも音楽も自由自在のメストレたちが大小様々の太鼓を身につけて、グルーブ溢れるリズムを放出。
そりゃあ、自然と身体も俊敏に反応するわけです!
踊ったあとは、まるで長距離走を走ったあとのような疲れ具合。
先生のはち切れそうな太ももとお尻は、女性の象徴というだけでなく、大切なパワーと筋肉が詰まったエネルギー貯蔵庫でした。

_CDO_batizado (18)

この日のカポエィラのワークショップは、メストレのなかでも最上級の段階にいるメストレ・カンガルーとメストレ・マルセロによるコンビネーションの練習。
ホーダのなかには女性も子供もいることもわすれないで、というのは、メストレ・マルセロの言葉。
両メストレとも、カポエィラの目的、意味を分かったうえでの動きを強調していました。
本当にこの人たちは技の引き出しが豊富で、移動にしても蹴りにしても、ただストレートに展開することがありません。
言葉による説明を受けなくても、メストレはじめ上級者の動きを見るだけで、その人のカポエィラに対する知識の深さや理解の多様さ、個性と想像力が見て取ることができました。

全てのワークショップが終了したあとに行われるのが、バチザードとトロッカ・ジ・コルダスです。
このイベントに参加する人々はみな同じTシャツを着ることになりますが、生徒たちは白、メストレはじめ指導者レベルの人々は黄色のTシャツを着ています。
バテリアは黄色のTシャツの面々が組んでいますが、その音、歌声には神が降りているように音に厚みがあり、背中が震撼するほどのオーラに溢れていました。
とくに、始まる時の歌は一瞬にして会場の空気をホーダのなかに集める力がありました。

バチザードのジョーゴはそれぞれ最初の帯(緑)、二番目の帯(黄+緑)、三番目の帯(黄)とつづき、その間に子供の昇段もありました。
生徒たちの精一杯のジョーゴもさることながら、一人ひとりの生徒の昇段に立ち会うメストレたちのジョーゴの絶妙なこと。
初心者の動きに合わせているのはもちろんのことですが、動きのなかにチラリと超上級の技をはさんで見せるところが観客の心をぐっとつかむのです。
派手な技ではなく、ちょっとした蹴りのバリエーションやマンジンガなど、こんなに微妙な動きで、ジョーゴの雰囲気が一気に変わる瞬間を何度も目の当たりにして、まばたきをするのも惜しいぐらいです。

今回、5人の生徒が指導者レベルに昇段しました。
メストレ・パウロ=バトゥータによる心のこもった紹介のあと、昇段者たちはそれぞれに歌、へピーキのバリエーションをつけたビリンバウの演奏、セクエンシアとその発展形の型を披露しました。
とくにセクエンシアの発展形のような型にはケーダやマンジンガ、ジンガのステップのバリエーションが含まれていて、今回のワークショップで繰り返し習った動きを映し出していました。
こういった様々な技を組み合わせた一連の動き(コンビネーション)は、すぐにジョーゴで役立てることができないかもしれませんが、繰り返し身体で覚えるとふとした機会にジョーゴに現われてくるものです。
特に、音楽とリズムにあわせて身体が躍動しているときこそ、気の利いた技やマンジンガがふと動きに現われるのです。
そう、まさに音楽が動きの引き金ということです。

指導者として昇段した人々は責任感に溢れ、ワークショップや練習のなかでの振舞いや他の生徒との接し方に際しても、分からない人には穏やかに教え、足りないことは自分から補っていくという徳の高さが感じられました。
こういう人たちが大きなグループの礎となっていくわけです。


今回の遠征で吸収したポイントとして:

★ 動きと音楽は二つの重要な要素ではあるけれど、二つじゃなくて一つ。音楽は動きを引き出し、動きは音楽を作るという、双方に繋がっているものだということ。
★ カポエィラの要は蹴りと避けだが、蹴っていないとき、避けていないときの移動の動きや待ちの動きのなかに個性的な技がいくつも出しえること。その瞬間にカポエィラのセンスが詰まっているということ。
★ 人々の動きに独自の創造性があること。

そして、そして、
★ カポエィラをやっているというだけで、自分と全然ゆかりのないところから来た人々と突然ジョーゴができること。今回はサンディエゴに行ったのだけど、ロサンゼルス、ダラス、メキシコ、ハワイなどなどのカポエィリスタと旧知の仲間のような出会いをしました。


バチザードの夜は生ライブのパーティー。
メストレたちの踊りのうまいことには、驚き、感動しました。
中でも、一目おいていたのはメストレ・カンガルーのフォホ(ペア・ダンス)。
相手の女の人を自在にくるくると回し、自分も回り、そしてリズムを味方につけて駆け巡る。
人々はその華麗なステップをひと目見ようと、激混みのフロアをモーゼの滝のように空けてしまうのですから。
関連記事
この記事へのコメント
先生も喜んでたし、私も日本から友達連れて行けて嬉しかったです。
これを機にますます交流深めて行きましょうね~♪
来年また来たい方いたらどしどしどうぞ!
sambaとforroが恋しい毎日。。
2011/06/13(月) 00:34 | URL | vespa #-[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:   
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック

 | Copyright © みんなのカポエィラ・テンポブログ(東京) All rights reserved. | 

 / Template by パソコン 初心者ガイド